ヴァンパイアな彼等
『ほら、めちゃくちゃ見られてるから。逆にコソコソするの不自然だぞ?』
『そ、うかなぁ〜?』
小首を傾げる凪に、俺は内心小さくため息をこぼす。妹のこととなると、凪は判断力が極端に落ちるから困ったものだ。
そうこうしているうちに、俺達は芽亜里のクラスにたどり着く。
『あ、見て翔月くん、怜也くん!芽亜里がクラスメイトと仲良く話してるよ…』
コソッと俺等に耳打ちしてきた凪が、嬉しそうに頬を緩めていると…。
『柚葉ちゃん!?大丈夫…!?大変…保健室に…』
芽亜里の悲鳴に近い声と、その場に倒れ込む女子生徒の姿が目に飛び込んできた。
『芽亜里の友達が大変だ…!』
パッといち早く動いたのは、凪。
それに続いて、俺と怜也も倒れた彼女に近づいていく。
倒れた彼女を抱えた凪は『俺たちが保健室に連れて行くから、芽亜里は教室で待ってろ』と声をかけていた。
『なんかこの子、ちょっと気配が変だね…』
『怜也もそう思うか?』
保健室に向かう途中、訝しげに眉を潜めた怜也に俺も同意して口を開く。
慌ててる凪は気づいてないみたいだけど、近くに寄ると、よりハッキリわかる不思議な気配。
『…彼女、何者?』
『さぁな。起きたら聞いてみるか』
怜也とアイコンタクトを交わしつつ、保健室へ急いだ。
そして、この日。
俺等は彼女、東雲柚葉の正体が…NVだと知ることになる――。