甘噛み吸血鬼は、トドメをささない (短)
「仲間が人質に取られたりしてさ。結局、俺はやられちゃったんだよ。吸血鬼の血を封印されたんだ。

ただの人間にさせられ、記憶も奪われ⋯⋯。この千年間、自分で自分がよく分からないまま、何度も輪廻転生を繰り返した」

「千年間⋯⋯」


唯月くんって、いま何歳なの?と聞こうとした時、カレーが口に入ってきた。どうやら、まだ喋ってはいけないみたい。


「そんな時に雨水さんを見つけてさ。吸血鬼なんて絶滅したと思ってたから、ビックリしたよ。

雨水さんの“血に飢えた顔”を見て、全てを思い出した。そして俺の力を戻すために、雨水さんの吸血鬼の血をもらった。

おかげで俺は吸血鬼神に戻れた。そして君は人間になった――というわけ」

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