甘噛み吸血鬼は、トドメをささない (短)
ここまでで、何か質問は?――と言われても、状況を整理することで精一杯で、何も浮かばない。


黙ったままの私を見て「理解が早いね」と 笑った唯月くん。彼が本当に吸血鬼神という、最強の吸血鬼なら⋯⋯

制服を着ている姿が、肩書きとギャップがありすぎて。ちょっとだけ笑えてくる。


「〜っ、ふふ⋯⋯」

「ねぇ、今のどこに笑うとこあったの?」

「ご、ごめんなさい⋯⋯」


そうだった。今、唯月くんは吸血鬼。私は人間。

怒らせたら、干からびるまで吸血されるかもしれない。気をつけないと⋯⋯。


すると、私が身構えたのを察したのか。唯月くんは空になったカレー皿を引っ込めながら「安心してよ」と言った。


「雨水さんは絶対に殺さない」

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