甘噛み吸血鬼は、トドメをささない (短)
「〜っ」


頬を紅潮させてウットリしてるくせに、眉間にシワを寄せて、ギラつかせる瞳。

つまり私を離す気、一切ナシ。


「〜っ、や!」


この勢いで血を吸われたんじゃ、貧血どころか、あの世行きだよ⋯⋯!助けを求めようと、大声を出すため口を開ける。

だけど、吸血鬼神と呼ばれる彼に、死角はなかった。開いた私の口の中。唯月くんは、そこに指を一本だけ入れる。


「んっ!?」

「もし大声を出そうもんなら、その前に――指じゃなくて、次は俺の舌を入れるからね」


切れ長の瞳に捉えられた私。まるで観念するように、静かに口を閉じたのだった。

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