甘噛み吸血鬼は、トドメをささない (短)
「病弱キャラだったもんね⋯⋯」

「雫、何か言った?」

「ううん!何もッ」


吸血鬼のくせに血を飲まなかった私は、常に栄養失調。常に体調不良。

休み時間はほぼ寝ていたし、放課後もフラフラしながら、すぐ家に帰っていた。

そんな私が、こんな風に友達と笑い合えるなんて――


「唯月くんに、ありがとうって言わないとね」


急に「吸血鬼の力を奪った」、「君を人間にした」なんて言われて戸惑った。けど蓋を開けてみれば、私にとってメリットしかなくて⋯⋯。

こんなに良い事ばかりで、大丈夫かな?って心配になるほど。


「唯月くんは⋯⋯。あ、サッカーなんだ」


男子も同じ運動場にいた。どうやらサッカーの試合をしてるみたい。唯月くんは、どこにいるんだろう?


「あ、いたいた。肌が白いから見つけやすいなぁ」
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