甘噛み吸血鬼は、トドメをささない (短)
「じゃあ、職員室に行ってくる」

「分かった……ごめんね。ありがとう」

「元はと言えば俺のせいだから、気にすんな」


そして神代くんがドアの取っ手に手をかけた。

だけど、その時。外側から、誰かが保健室の扉を開けた。

立っていたのは、なんと唯月くん。


「あれ?唯月どしたよ?」

「⋯⋯ん、ちょっと怪我しちゃって」

「マジかよ。やっぱ先生が必要だな。じゃあ雨水、待ってろよ。先生を呼んで来るからな」

「あ、うん!神代くん、ありがとう」


神代くんはニッと笑って、唯月くんの隣を通った。

だけど、その瞬間――


「!」
「!?」


神代くんと唯月くん。

二人はお互いの顔を見て、まるで時が止まったように、固まった。

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