甘噛み吸血鬼は、トドメをささない (短)
「な、何だか調子悪いし。ちょっと寝ようかなぁ⋯⋯?」
「ダメだよ」
「なんで!?」
すると唯月くんは「気づいてない?」と、私の足を指さした。
「太ももの内側、血が出てる。これから手当するから、そのまま座ってて」
「え、血?」
見ると、太ももの内側。しかも、限りなく上の方⋯⋯。体操服で隠れてるのに、どうして血が出てるって分かったんだろう。
疑問を持つ私とは反対に、私の考えはお見通しらしい唯月くん――スンスンと鼻を鳴らした。
「匂いだよ。雨水さんの血の匂いは覚えてるから、すぐ分かるんだ」
「そ、そうなんだ。気づいてくれてありがとう。でも、手当はできるの?」
何気なく聞いた事だった。だけど唯月くんは、すごくいい笑顔で――本当に、すごくいい笑顔で「もちろん」と頷いた。
「ダメだよ」
「なんで!?」
すると唯月くんは「気づいてない?」と、私の足を指さした。
「太ももの内側、血が出てる。これから手当するから、そのまま座ってて」
「え、血?」
見ると、太ももの内側。しかも、限りなく上の方⋯⋯。体操服で隠れてるのに、どうして血が出てるって分かったんだろう。
疑問を持つ私とは反対に、私の考えはお見通しらしい唯月くん――スンスンと鼻を鳴らした。
「匂いだよ。雨水さんの血の匂いは覚えてるから、すぐ分かるんだ」
「そ、そうなんだ。気づいてくれてありがとう。でも、手当はできるの?」
何気なく聞いた事だった。だけど唯月くんは、すごくいい笑顔で――本当に、すごくいい笑顔で「もちろん」と頷いた。