甘噛み吸血鬼は、トドメをささない (短)
「ズボン、めくっていい?」

「え、きゃあ!返事をする前にめくらないで⋯⋯っ!」

「ごめん、待てなくて」


ニッと笑った時に、唯月くんの口から覗いた牙。今日は、このまま「ご飯を食べる」のかな?

私が人間になった日から――

皆の目を盗んでは、唯月くんに吸血される毎日。

廊下の死角とか、屋上とか。いつの日かは、男子トイレの個室で⋯⋯とか。なかなかデンジャーな吸われ方をされる。

みんなには秘密の背徳感。
バレないか不安の焦燥感。

そういったドキドキが重なり、吸血中の私は、変に敏感になってしまう。

今だって、そう。


「ねぇ雨水さん」

「な、なに?」

「聞いてもいい?どうして――

そんなに顔を赤くしているの?」

「っ!!」


眉を八の字にして、更に赤面した私。そんな私の腕を、足を――唯月くんは、ゆっくりと絡めとった。

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