甘噛み吸血鬼は、トドメをささない (短)
「あ、唯月くん⋯⋯、やめっ」

「ダメ、これはお仕置だから」

「おし、おき⋯⋯っ?」


足を高く上げられると、恥ずかしさで、どうにかなりそう。それなのに唯月くんは「お仕置」とかいうし⋯⋯どういう事っ?


「教えて、何が⋯⋯あっ!」

「静かに。もう何も考えないで。雫の煩悩で美味しい血の味が変わる前に――

黙って俺に、堕ちておいで」

「あ、ズル⋯⋯い⋯⋯」


いつもより激しく血を吸われ、私は意識を手放してしまう。同時に、唯月くんは私から牙を抜き、その跡を確認した。


「怪我も牙の穴も、綺麗に消えた」


安心したように、「はー」と息を吐く唯月くん。私を抱いたまま、ベッドに移動した。
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