甘噛み吸血鬼は、トドメをささない (短)
ドサッ

ベッドの上に下ろしても、なおも眠り続けてる私。そんな無防備な私を見る唯月くん。

「まったく」と呟いて、寝息を立てる私の頬を、みよ〜んと引っ張った。


「はぁ。俺以外の人にお姫様抱っこされた事、忘れないでよね。ほんと、手のかかるご飯係だ」


すると私が寝言で「いひゃい……」と顔を顰めたのを見て、唯月くんは静かに笑う。

だけど――


「俺がこれからする事。それを知っても、雫は笑ってくれるかな?」


唯月くんの顔から、笑顔が消える。

そして同時に――

誰かの手により、保健室のドアが静かに開かれた。

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