甘噛み吸血鬼は、トドメをささない (短)
「殺す対象は唯月だけじゃなくて――

雨水も。って事になるよな?」

「!?」


ガチャ

神代くんの銃口が、躊躇なく私に向く。私が体を震わせ青ざめても、神代くんの狙いは変わらなかった。


「俺の名前は神代 務(かみしろ つとむ)。
神の代わりを務める者だ。

長年の戦いの決着。それを今――

俺の手で、終わりにさせる」


途端、神代くんは銀色の銃を空に向け、発砲した。すると空に吸い込まれた鉛玉が、青い稲妻に代わって地上に落ちてくる。

見ただけで分かる。

あの稲妻に当たれば、絶対に助からない。

バンッ

バンッ

すごい数の稲妻を落とす神代くん。だけど、そんな稲妻を前にしても、唯月くんは飄々(ひょうひょう)としていた。

落ちてくる稲妻を見ながら、神代くんに語りかける余裕があるほどに。

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