甘噛み吸血鬼は、トドメをささない (短)
「神とやらと結託して、子々孫々――ずっと俺を狙い続けて楽しい?」

「神様は関係ない。俺は、代々の言い伝えを守っているだけだ。

”人間界に住まう吸血鬼は皆殺し”――その言い伝えを守らないと、災いが起こると言われているからな」


神代くんの言葉に、唯月くんは心底あきれたように、ため息をはいた。


「俺たち吸血鬼からしたら、無差別に襲ってくる人間こそ災いの塊だよ。いつどんな時だって自分のことしか考えない。ほんと――醜い集団め」


苛立つように「チッ」と舌打ちをした唯月くん。

落ちてくる稲妻に向かって、ブンと音がするほど、大きく腕を振りかぶった。すると、幾つもの光のボールが出来上がり、稲妻に向かって飛んでいく。

二つの光はバチンと重くぶつかり、相殺される。私が保健室から見ていたのは、この光景だったと分かった。

でも、こんな事をしてちゃダメ。

こんな事を続けちゃダメ。
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