甘噛み吸血鬼は、トドメをささない (短)
やっぱり当たってたんだ!銃に撃たれてたんだ!

なのに私は、唯月くんが平気な素振りをするから、それを信じてしまって⋯⋯。バカだ。大バカだ!


足を曲げ、唯月くんと共にゆっくり座る。やっと見えた唯月くんの顔は、いつもより更に白く⋯⋯

息をしてない人形のようだった。


「神代くん!唯月くんは、どうやったら怪我が治るの!?」

「治らない。いや――治さない。

ソイツは何千年も、」

「そんな昔の話はいらないから!」


私の怒った声に、顔に。

神代くんは一瞬だけ動じ、私たちに近づいていた足を――あと数メートル残し、ピタリと止めた。

そして、私が自分の指を噛む様子を、眉をしかめて見る。


「雨水、お前⋯⋯何してんの?」
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