ウチの居候ヴァンパイアくん。
「ったく、彼氏がなかなかできないから心配してたのに。やっと男の話が出たと思ったら、まさかこんなことになるなんて…。」
「こんなことって…。」
「一緒にいる人が欲しかっただけ、とかじゃないよね?ちゃんと見極めなよ。あんまり深入りしないようにね。由里ったら、すーぐ困ってる人の面倒見たがるんだから。」
「うん、気を付ける。」
由里がそう返事をすると、結衣は変わらず心配そうな顔だったが、とりあえずパスタの続きを食べ始めた。
——うーん…。結衣の言う通りなんだけど、アキラ君が変な子だとはどうしても思えないんだよなあ。
自分から話を出してアドバイスをもらった手前、今思ったことは、結衣に面と向かって言えない。
由里はフォークで巻き取ったパスタを口に運びながら、心に浮かんできた言葉を飲み込んだのだった。