ウチの居候ヴァンパイアくん。
「あんまり驚かないんですね。怖く…ないですか?」
アキラが由里の表情を伺いながらそう言うと、由里はコロッケを食べてモグモグと動いている口元を、手で隠しながら答える。
「一応、驚いてるよ?でも、ヴァンパイアだからって別に悪いことしたわけじゃないんでしょ?犯罪犯したとか、そういうのないんでしょ?」
「まぁ、それはないですけど…」
「じゃあいいじゃん。アキラ君がいい人って、私はなんとなく分かってるからさ。ヴァンパイアって言われても『俺、実は女なんです』って言われてびっくりした感覚とおんなじくらいかな。」
由里がそう言うと、アキラはプハッと吹き出した。
「俺、男ですよ?」
「まぁ、例えだよ。」
「そうですけど…」
アキラはまだクスクスと静かに笑っている。