ウチの居候ヴァンパイアくん。


洗い物が一通り終わり、アキラがシンクを掃除し始めた。
由里は最後の食器を拭き終わり、食器棚に片付けながら言った。


「アキラ君がうちで家事してくれたらホント助かるわぁ。」


由里が、冗談半分でそう言うと、アキラが掃除する手を止めて真剣な顔をして由里と向き合った。


「それ、ホントですか?」


「ん?」


「俺が家事したら助かるって話。」


「うん、まぁ…助かるよ?」


「じゃあ、家事全般俺がするんで、ここにしばらく居させてもらえませんか?」


「え!?」


さすがの由里も、この申し出には戸惑った。


そんな由里に畳み掛けるようにアキラが言葉を続ける。


「俺、今体調に自信ないんですけど、身寄りがなくて。だから、由里さんがよかったら、一人暮らしをする準備が整うまでの間、居候させてもらえたら助かるなぁって。」


遠慮がちに、でも縋る様な目をして理由を話すアキラを見ながら、由里は「いやぁ、さすがに…」と思わず呟いた。

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