ウチの居候ヴァンパイアくん。
——ホント、できた子だよねえ、アキラ君は。
洗面台でメイクを落としながら、由里はアキラのことを考えていた。
——2か月前に会った時は元気なかったけど、最近はよく笑うようにもなったし。流れで一緒に住むようになってから気づいたけど、私より料理上手いし掃除も得意みたいだし。性格もいいし、背も高くてイケメンだし、完璧だよね。あえて、問題点として挙げるなら…
由里は洗顔料を洗い流し、水で濡れた自分の顔を鏡で見つめた。
——見た目じゃわかんないけど、ヴァンパイアなんだよねえ。
そう。
アキラはヴァンパイアなのだ。
二人の出会いは突然だった。
血液を十分に補給できず、貧血で体調が悪くなっていたアキラを、マンションの前で由里が見つけて保護したのが、一緒に住み始めたきっかけだ。
——高校生だと思って保護したのに、まさか24歳とは。
浴室に入り、全身を洗い終えた由里は、湯船に浸かりながら当時のことを思い出して、ふふっと笑った。