ウチの居候ヴァンパイアくん。


——でも、ヴァンパイアなのが問題点、って言ったらちょっと違うか。私だって、女に生まれたくて生まれたわけじゃないし、アキラ君だって、ヴァンパイアに生まれたかったってワケじゃない。そう言う、自分でなんとかできない生まれ持った要素って、生きていく上では上手に付き合っていくしかないものだから、大変だよね、アキラ君は。


由里はそう考えながら、一日中、ヒールの中に納まっていた足を丁寧にもみほぐした。
浮腫んだ足を湯船の中でマッサージすると、すうっと血液の流れが良くなったのが分かる。


全身ポカポカになったので風呂から上がり、パジャマに着替えた。


そのまま、濡れた髪をタオルで拭きながらリビングに入る。


「わあ、美味しそう!」


いい匂いにつられ、ダイニングテーブルの方へ回った由里は、並べられている料理を見て思わず声を上げた。


「もう、由里さん!また髪濡れたまんま~」


エプロンをつけたアキラがご飯を盛った茶碗と麦茶が入ったコップを持って、由里の後ろを通った。

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