ウチの居候ヴァンパイアくん。


「アキラ、歌舞伎町で結構人気なホストなんですよ?」


「おい、もうやめろって。」


アキラが制すが、エミはアキラが由里と一緒にいることが許せないのか、耳障りな言葉を次々と投げつけてくる。


「あ。おねーさんアキラの癖、平気?ほら、すぐ首筋とかに噛みつくじゃん。で、めっちゃ吸うからさあ、キスマークもいっぱいついちゃってさ、困るよねえ。でも私は嫌いじゃなかったなあ。アキラとなら私、またホテル行ってもいいなあ。」


——ホストになって、誰彼構わず、吸血してたんだ、アキラ君。ホテルにも女の人を連れ込んで―。


「おいエミ。マジでいい加減にしろ。」


エミの言葉を聞いたアキラは、今まで見たことのない顔ですごんだ。


それを見て怯んだエミは、ふんっと言うと、由里を睨みつけ、最後に捨て台詞のように言い放った。


「アキラ、なんか趣味悪くなったよね。つまんない。」


そして踵を返すと、待っていた連れの美女のところへ戻り、少し離れた席に座った。


「由里さん、マジで…ごめん。」


アキラが謝ったが、由里は色々とついていけず、思わずアキラから手を離した。


「…今の話って本当なの?」


由里は泣きそうになるのをこらえながら尋ねた。


アキラはそれを察したのか「居心地悪いから、とりあえず出よう」と言うと、由里の手を引いて店の外に出た。

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