ウチの居候ヴァンパイアくん。


外に出て、最寄りの地下鉄の駅へ向かって、二人で並んで歩いた。


アキラは、由里と顔を合わせるのが気まずいのか、前を向いたまま、でもいつもよりも優しい口調で「さっきのこと、ごめん。隠すつもりはなかったんだけど…」と言った。


――エミさんが話してたこと、やっぱりホントなんだ。


由里は俯いて歩きながら尋ねた。


「もしかして私の家にずっといるのも、ホストクラブの固定客を作るため…?」


声が震えていた。
アキラはそれに気付いて立ち止まり、由里の顔を覗き込んだが、由里はフイと横を向いて目が合わないようにした。


「そんなことしないよ。それは絶対に違う。信じて欲しい。」


アキラはそう言ったが、にわかには信じられない。
由里の様子を見て、信じてもらえていないことを察したのか、更にアキラが言葉を続けた。


「由里さんの家に居候するようになってから、俺、そのままクラブ辞めたんだよ。だから今はホストじゃない。少なくとも、今はただの会社員だってことは、由里さんも知ってるでしょ?」


「でも、長期の休みって、エミさんは言ってたでしょ?」

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