ウチの居候ヴァンパイアくん。
「それはっ…たぶん、店長が勝手にそういう事にしてるだけなんだと思う。俺、稼ぎ頭の一人だったからさ、辞める時も引き留められたし、正直今でも復帰しないかって電話掛かってくるし。でも俺は、もうホストになるつもりは全くないよ。」
由里は返す言葉が見つからず、そのまま黙りこくってしまった。
アキラは縋る様に言葉を紡ぐ。
「…信じてよ。由里さんと出会ってから俺、初めて自分を変えたいって思えたんだ。本気なんだよ、由里さんのこと。本気だから、3か月も一緒に同じ部屋で生活してても、俺、由里さんが嫌がることしなかったでしょ?本気じゃなかったら、とっくに手ぇ出してる。」
——本気…?そうなの?信じていいの?
由里は思考をぐるぐる巡らせたが、頭が混乱して正常な判断ができない。
じんわり滲んできた涙を、ゆっくり拭う。
アキラは手を伸ばし、そっと由里の頬に手を当てて、由里の顔を自分の方を向かせようとした。
が、由里は俯いたまま、顔をそむけ続けた。