ウチの居候ヴァンパイアくん。

居候ヴァンパイアくんと私。



気付いたら由里は家に帰りついていた。


呆然としながら部屋に入り、ベッドに突っ伏す。


——アキラ君がホストだったなんて。


言われてみれば確かに、あれだけ綺麗な顔をしていたらホストとして人気が出るのも頷ける。
気配りがえらく上手なのも、ホストとして働きながら身に付けた術だったのかもしれない。


——他の人から聞きたくなかったなあ。


せめて、先にアキラの口から聞いていれば「騙されているかもしれない」なんて疑う気持ちも生まれなかったかもしれない。


由里がアキラと一緒に暮らし始めたのは、身寄りのない彼を気の毒に思った、ということが理由の一つでもある。
だが、やはり彼と過ごす時間が心地よく感じていたことが一番の理由だった。
 

でもそれは、あくまでも営業手法の1つで、アキラに執着させることが目的だったとしたら?
執着した後に店に連れ込まれ、客として金をつぎ込ませようと思っていたとしたら?


疑惑はキリがないほどに浮かんできた。

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