【短編】極上ヴァンパイアたちは薔薇乙女を溺愛中
 でも咲さんが私から離れたことでまた状況は変わる。

「まあいいさ。他のみんなも中で待ってる、ヒナちゃんに紹介しないとな」

 そうして中にうながされた私は、純血種ばかりの特別クラス《Luna》の生徒の住まいである特別寮に入った。


 中にいたのはこれまた極上なイケメン三人。

 一人はこの間律さんに突っかかっていた潤さん――いや、潤くんだ。
 不満そうな表情で名乗ってくれた彼は花倉(はなくら)潤、私と同じ二年生らしい。

 その弟である花倉(たく)くんは一年生。
 潤くんと同じ茶髪をツーブロックに分けた髪型にしている。
 焦げ茶の目は大き目で、カッコイイというよりは可愛い。

 最後の一人は神崎(かんざき)(みつる)くん。
 彼も私と同級生で、サラサラな黒髪と黒曜石みたいな黒い目が印象的だった。

「えっと、夏目緋奈です。よろしくお願いします」

 そう自己紹介をすると、すぐに沢くんが人懐っこい笑みを浮かべて近づいて来る。

「緋奈先輩、かーわいっ! ねぇ、俺のになってよ」
「え?」

 いきなり可愛く迫られて戸惑う。
 確かに《Luna》の人たちには狙われると聞いたけれど、こんな迫られ方をするとは思わなかった。
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