【短編】極上ヴァンパイアたちは薔薇乙女を溺愛中
 ……何か、企んでるとかじゃないよね?

 あまりにも優しくて逆に疑いたくなってしまう。

 ヴァンパイアは薔薇乙女を求める。
 それは律さんだって同じはずだ。
 だって、でなければ初めて会ったときにあんな風に欲を映した目で吸血してくることはなかったはずだから。

 不審に思った私は、部屋に案内してくれた律さんに探りを入れてみることにした。

「この部屋だ。じゃあ、しばらく休んでいろ」
「あのっ!」

 すぐに立ち去ろうとする律さんを呼び留め、言葉を選ぶ。

「あの、どうしてさっき私の血を吸わなかったんですか?」

 どうして優しくしてくれるのか聞こうと思ったけれど、それだとはぐらかされるかもしれない。
 だから、もっとハッキリ答えてくれそうな質問をした。

「それは……」
「私、部屋に連れ込まれた時点でまた吸われるのかと思ったんですけど……」

 付け加え、どうしてですか? ともう一度聞く。

 律さんは少し言葉に詰まるように眉を寄せ、答えを迷うように視線を揺らす。
 その様子にやっぱり何か裏があるんじゃないかと勘繰ってしまったんだけれど……。
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