【短編】極上ヴァンパイアたちは薔薇乙女を溺愛中
　寮や学園にも多少は慣れて、そろそろ本格的に悟志の居場所を調べようと思った。
　そうして一年の教室を中心に調べていたとき。

「緋奈先輩、一年の教室に来て誰を探してんの？」

　可愛く首を傾げながら沢くんに聞かれた。

　何とか悟志を見つけられないか休憩時間などに一年の教室の方へ行っている私。
　学園内を一人で行動しないように言われている私は結果的に一年の沢くんと一緒に行動することが多くなっていた。

　こうして一年の教室で悟志を探している私の様子を見れば疑問に思うのも当然だろう。

「あ、その……実は弟を探してて……」

　少し迷ったけれど、もしかしたら同じ一年の沢くんなら悟志のことを何か知っているかもしれないと思って事情を話した。

「そっかー。緋奈先輩はそのために大人しくこの学園に来たんだな」

　納得する沢くんは「そうだ！」と無邪気にも見える笑顔で協力を申し出てくれる。

「じゃあ俺が緋奈先輩の弟を探してやるよ！」
「い、いいの？」

　正直に言うと手伝ってくれるかもしれないと期待して事情を話した。
　でもお願いする前に自分から言い出してくれるなんて……とちょっと感動していたのに。

「その代わり見つけてあげたら、お礼に血か唇くれよな？」
「え？」

　お礼の品に何だかとんでもないことを要求された気がする。
　もしかして自分から手伝いを申し出たのは下心があったから？
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