【短編】極上ヴァンパイアたちは薔薇乙女を溺愛中
「え? そんな手紙入ってなかったけれど……」
「あれ? おっかしいなー……風で飛ばされたとか? でもちゃんとポストの中に入れたはずなんだけど」

 後ろ髪をかきながら首を傾げる悟志。
 でも、それならそれで私から折り返しの連絡がないことを不思議に思わなかったんだろうか?

「私から連絡がないことをおかしいって思わなかったの?」
「え? まあ、ちょっとは思ったんだけど……」

 私の問いに悟志は決まりが悪そうに視線をさ迷わせ、それを世羅さんに向けたところで止める。

「世羅と過ごす時間を優先していたら、なんか姉さんへの連絡は後で良いかなって思っちゃって」
「は?」

 頬を引きつらせる私に悟志は構わず話す。

「男子寮では自由時間は世羅と電話かメッセージ送り合ってるし、学園にいるときは少しでも会いたいからって休憩時間はいつも二人きりになれる場所に行っていたし」
「……」

 休憩時間はいつもって……そりゃあ私がその時間探しに行ってもいないわけだ。

「ごめんなさい! 私も連絡取れてなくて大丈夫かなとは思っていたんですけど……」

 でも悟志と過ごす時間はすぐに過ぎちゃって……と惚気はじめる世羅さん。
 そのまま目の前で二人の世界を構築されそうになった。
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