ヴァンパイアガールズ
「あーそれな。そう言えばそんな面倒も残ってたんだった」



ちはやは学園長に何を言うわけでもなく,そう愚痴染みた声を落として。

扉に目を向けると,丁度誰かがやってきて閉じられた扉をノックした。



「学園長,お客様がお見え」

「うるさい! 今は取り込み中だ,客の予定など入っていないのだからすこし待っていて貰え!」

「もういいぞ,入ってこい」

『あら,いいのですって,あなた。ではせんせ,あなたはもう戻ってくださいな』

「しか……」

「おい! 何をしている! お客様を通せ!!!」



ちはやの勝手な返事に目を丸くした学園長は,客の声に態度を翻し,もう訳が分からなくなった様子で案内の教師を怒鳴り付ける。

嫌な上司だと思っていると,教師の足音がどんどん遠くへと消えていった。



「お久しぶりですわね,学園長先生。今日は私達,そこのたかが息子に呼びつけられて参りましたの。場所の提供,快く頂いていいのですわよね?」



登場からにこやかに圧をかけるその様は,まさにちはやの母親だ。

その外見に圧倒される。

真っ黒な黒髪のロング,長い前髪は1度上へ上がり,下へくるりとおりていた。

豊満な胸を綺麗に魅せた真っ黒なワンピースを着たその人は,真っ赤な口紅のよく似合う,妖艶な美女だった。



「さあ,第1回,家族会議の始まりですわ」
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