ヴァンパイアガールズ
「最悪……後にしてよ」



扉の前に両親。

面倒嫌いなのに逃げ場を失ったシュウは,心底受け入れがたいと眉根を揉んでいる。



「修羅場が楽しくて仕方ない」

「え?」

「って,言ってるみたいだね,あの人」



美海は眠たそうにそう言った。

ハルは呆気に取られてどうしていいか分からないようにしている。

美海の言葉に,私は確かにと1人異質な空気を出す女性を見た。

ちはやが,わざわざ呼びつけた理由が気になる。

ちはやとシュウの母親の後ろには,父親もいた。

こちらはどこか気難しそうな綺麗な顔をしていて,2人とも眉や鼻はきっと父親から継いだのだと分かる。

どこか神経質そうで,繊細にも見えるその細い男性に,中身はきっとシュウに近いと思った。



「"アリサ",本題に入ろう」

「そうね……先ずは,美海さんの隣の女の子を紹介してくれる? ちはや?」
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