ヴァンパイアガールズ
───ピーーーリーーー。

下がって上がる,そんなへんてこな音が,爆音で流れる。

私は咄嗟の事に,大きく混乱した。

地震? 不審者?

この学園じゃ,何がなんの音なのかさっぱりなのはいつものこと。

けれどこの音は,一風変わったこの爆音は。

まさか,と私は顔を青くして,ただ驚く様子のハルと顔を見合わせる。



「全員,かいさーん!!!!!」



野太い1人の教師の声。

走っている向こう側の人間まで,好き勝手に走り出す。

これは,まさか。



「恋人の時間,10分前~!!! 恋人好きな人友達,好きに過ごせ! ただうっかり襲われても仕方ないと無罪放免だから,きぃつけろよー!! 俺らももう帰るからなー」



どうしてなの。

予定より半日も早い……!!!

それもこんな,ハルの目の前で。

なんて最悪なタイミング。

こんな視界も開けた場所で,どうやって。

誰にも見られず逃げられるだろう。



「浅海,恋人の時間じゃなくていいなら,予定より早いし……もしかして」



僕と一緒でも構わないかと,言われているのが分かった。

だけど,明確に言われる前に,塞ぐ。



「ごめん,ハル! お腹いたい!」
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