ヴァンパイアガールズ
怪我を作るより,もっともっとバカな行動だ。

分かりやすく仮病を使い,目の前で走り去るなんて。

約束は放課後すぐだったと言えばそれまでだったとも思う。

だけど,あんなに急いで去るなんて,相手とは特別な仲だと勘違いされるかもしれない。

嘘が1つふたつ剥がれて,思ってもいない嘘に変わるのが,私は怖かった。

私はとっくに,嘘つきの裏切り者なのに。

走る,走って,グラウンドを抜け出す。

抜け出しても,もう既にヴァンパイアだらけ。

どうしたらいい? あと何分残ってる??

もう3分は使ってしまったと,取り敢えず校舎に逃げ込むと,体育終わりのままキスを交わすヴァンパイアだらけ。

みんなその時間を,血を待っている。

にんげんの,とこ。

はやく,バレないところ。

急いでいると,予想外のタイミングでこけた。

持ってきたものも手元にないため,ただの擦り傷だった。

もうこれで痛がるしかないと,ついでに自分でも殴っておく。

私はまだ,この学園を去るわけにはいかない。

ただ,友達と楽しく学園生活を送っていただけになってしまう。

嘘だらけの生活で,私の決意まで嘘にしたくはない。



「大丈夫?! あさ………………え?」
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