ヴァンパイアガールズ
最悪だった。
いつから追いかけてきたんだろう。
嘘が露見するとき,それは事実だけならいいと思った。
もし言い逃れられない,感覚が先に来る露見だとしても。
せめて,優しかった3人の誰でもないヴァンパイアがいいと思っていた。
なのに,確かめるようにたっぷりと間をおいて,空気が抜けるような疑問を音にしたハルは。
私と自分の違いを,さっき私が,嘘を重ねて,"逃げた"のだと言うことを。
全て,全感覚で理解していた。
ごめん。
口の中で,誰かが言った。
溢れないように,これ以上嫌な"人間"に成り下がらないように。
私は唇を引き絞る。
ゆっくりと自力で立ち上がって,私はハルを見た。
痛々しい視線が,私を突き刺す。
私は,ハルから目をそらした。
そしてなんの説明もなく,またハルに背を向ける。
浅海。
そんな声は聞こえない。
ハルなら簡単に追い付くはずなのに,私は1人で走っていた。