ヴァンパイアガールズ
この校舎の中で1人,何事もなく数時間を過ごさなくてはいけない。

どうする?

目の前の男を追い出す?

敵うわけない。

ここに置いて貰う?

それほど優しそうにも見えなかった。

あと,単純に嫌。



「お前,何でこんなとこ来てんだよ。バレてんのに,何で人間を否定しようとする? 初めて見る顔だけど,なん組?」

「質問ばっかり。あんたこそここでなにしてんの? あんだけ凶暴なくせに,まさかヴァンパイアから隠れてんの?」

「そらすのな,しかも言い方が一々ムカつく。俺はな,発熱して運悪く倒れてんの」



どこがよ。

と,顔にだし



「ピンピンしてるくせに」



と責める。

相手は余裕そうに,ふっと笑った。

一々イケメンで,心底ムカつく。

でも今は,上から,正面から,堂々としていられる場合じゃない。



「ねぇ,お願い。今日私と逢ったこと,私の全て。誰にもいわないで」



ずかずかと勝手に内側を暴いて,爆弾のスイッチを拐っていった。

動転していたとはいえ,自分の落ち度だった。
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