ヴァンパイアガールズ
そのほぼ嘘みたいな隠し事は,考えて出た言葉じゃない。

最初からそうするようプログラムされているかのように,隠し事とかかれたシールでも舌に貼られているように。

咄嗟にやんわりとした笑顔と共に滑り落ちた。

もし何かあったかと聞かれれば,それも今度は隠し事から嘘に変わるだけ。

そんな自分に,アレルギーのような反応が起きる。

痒い,苦しい,苦しい。

ぎゅっと抱き締められる。

見ると,美海だった。



「おはよう……どうしたの? シュウが悪いの? 大丈夫だよ,浅海は大丈夫」



懸命に,静かに,ぎゅうぎゅうと抱き締められた。

無抵抗な私も,その理由の分からない懸命さを突き放せない。

このまますがってしまえればと,手を回そうとすれば。

目の端に,シュウが身を切る思いで置いてきただろうハルがいた。

何を考えてるか分からない静かな瞳が,真っ直ぐと私を捉える。

ハルはまだ,誰にも打ち明けてない。

私は,ハルの目を逸らせなかった。
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