ヴァンパイアガールズ
だけど私は,どうしてもだめなら。

退学でなくていいのなら。

迷わず,人間のクラスを選ぶ。

その出てはいかないよという意志は,ハルにも伝わったようで。

ハルは,可哀想にも絶句していた。



「そんな顔しないで,ハル。いいんだよ,誰かに,教師に話しても。学園長がいるから,退学にはならないかもしれないし。偽ってたのは私,在るべきところに収まるだけなの」



私は,ハルがそんなことを気にしているわけじゃないことくらい分かっていた。

有名な場所から追い出された可哀想な子でなければまだマシだろうと,なんとも思わないようなヴァンパイアじゃないことも分かってた。

だけど,これくらいしか,目の前のハルにかける慰めの言葉がなかった。

だけど,気付く。

今私が口にするべきなのは,自分が招いたことへの慰めなんかじゃなくて。



「ずっと……ごめんね」



騙して,偽っていたことへの,謝罪の言葉だった。

最初にくるべきは,それだったんだった。

どうして忘れていたんだろう。

……違うか。

正面から怒られるのが,拒否されて,嫌われるのが。

怖かった,だけだった。
< 27 / 111 >

この作品をシェア

pagetop