ヴァンパイアガールズ
「僕さ」
「うん」
「浅海の事が,好きだった。いつか結婚するなら,浅海がいいと思ってた」
私は,黙す。
驚いたには,驚いた。
だけどそれよりもっと。
ああ,だからか。
と納得してしまう。
今思えば,どれも1つのサインでしかなかったのに。
真正面から見られることを恐れた私は,皆をちゃんと見なかった。
だから気付かなかっただけに,過ぎないのだと。
気付いたときには,こんなにも取り零したものがある。
「でも,良かった」
そう,何もかも諦めるような。
やっと整理がつくような。
そんな寂しくて切ない顔をさせたのは,確かに私なんだろう。
だけど,その責任は私にあるのに,救ってあげられるのは,きっと私じゃないんだろう。
私に,そんな都合のいい言葉や力はない。
「僕達ヴァンパイアは……ううん,僕の家も。本気で恋して一緒になれるのは,ヴァンパイアだけだもの」
ヴァンパイアは,今も昔も,生き物としての面が強い。
人間と同じように,ヴァンパイアは,ヴァンパイアからしか産まれないから。
もし別々で添い遂げたのだとしても,ハーフは未だ存在せず,どちらか片方の性質を継ぐように出来ている。
だから,つまり。
希少性の高い男のヴァンパイアに限って,ほとんどの場合はその確実性を維持するために,"家"が"例外"を認めない。