ヴァンパイアガールズ
だから,少しだけ時間をちょうだい。

ハルの言葉を追うように,いくつも感情が頭に響いて来た。

最後にハルは,もう一度いう。



「友達でいよう,浅海。僕はそれがいい」



優しいヴァンパイア。

1番がいつも自分ではない,綺麗なヴァンパイア。

告白を受けたことも,少年を泣かせてしまったことも。

初めてだった。



「2人には,まだ伝えないで置こう。シュウは今さらどうでもいい,美海はきっとそうなんだって。浅海を責めることはないと思う。でも,それじゃ浅海が不安なんだよね。曲がらずに,落ち着いて悪いと思えるまでは,秘密にしていよう」



いま打ち明けたら,私はきっと,皆の目を真っ直ぐ見返すことは出来なくなる。

ハルが聞かないでくれる動機を,隠しているという意識がさらにはっきりしてしまうから。

だから今は,打ち明けない。

だから今は,この関係に時間を置く。

止まってしまうように,それぞれ違う道を選び直すために。
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