ヴァンパイアガールズ
清廉で,おどおどしていて,いつも眠たそう。

その上たまに口まで開いている美海は,2人のやりとりなどどこ吹く風。

美海は割りと人間味の強いヴァンパイアだけど。



「う~ん,お腹すいたなぁ……」



ぼそぼそと呟かれる声に耳をむければ



「可愛い女の子……違うなぁ。可愛い男の子,うん男の子がいい。添い寝もハグも全部あげるから,血,くれないかなぁ。……えさのとこいくの,めんどくさい」



自分をかけてでも食欲が勝つ,誰よりヴァンパイア味の強い女の子なのだった。

寝ちゃうから3回まで,なんてたまに呟かれては,私はドックンと肩を揺らす。

ヴァンパイアは割りと,性に奔放で。

その特性は,中でも女性に強くって。

男は敬遠するものがほとんどだが,女は性別なんてどちらでもいいという考え方が主流。

美海の溢す,えさのとこ,とは。

この学園の落ちぶれクラス,人間専用のクラスの通称である。

それは,お金も頭もないような救い用のない人間や,ヴァンパイアに肉体的に喰われることを目的とした人間が通っている場所のこと。

中には1人,特待生として頭脳のみで入学した,強者で物好きな人間がいるらしいけれど。

もし私が偽らなければ,きっとその人と2人で変人扱いを受けたはずだ。
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