ヴァンパイアガールズ
「なぁ,浅海の血,飲んでいい?」

「は?」

「言ってたんだよ,浅海とよく一緒にいるやつ。俺をお前に吸血して欲しがってる人間だと思ったらしいんだが……"浅海は人生で一度も吸血させたことがない"ってな」



ぐっと,口の中を噛んだ。

それは,本当の話。

それどころか怪我して自然と流れた血すらあげたことはなくて。

美海もハルもシュウにも話した事がある本当の話だった。

えさと呼ばれる人間の中には,進んで血を提供するものが多くいる。

寧ろその先まで望んで,近づいてくるようなのが。

私も何度か声をかけられたけど,その度断ったから。

美海は私の変わりに断ってくれようとしたんだろう。



「なのに,俺には大量にくれただろ? 文字通り出血大サービスで。あれ,ほんとに美味かったんだ。俺ら,多分死ぬほど相性いい」
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