ヴァンパイアガールズ




相性。

血と,外見と,快楽と,心と。

何度考えたか分からない,ヴァンパイアにとっての相性。

……好み。

思考が,目の前のちはやから離れていった。

はっと取り戻したときには,ちはやが私を怪訝そうに見つめている。

どれだけの間,もぬけの殻のようになっていたかと思えば,きっと数秒に満たないくらい。



「で,くれんの?」

「嫌,ぜったいに,いや」

「だと思った。でも別にいいんだよそんなの」



心は,後。

ちはやは私の太ももに手を置き,ぐっと力を込めた。

持ち上げられた私は,簡単に床を背にしてしまう。

これは,仕方のないことだ。

そうゆうヴァンパイア(ちはや)なんかを助けてあげようとした,私の落ち度。

でも……

浮かぶのは,ちはやへの悲しみ。



「私……ヴァンパイアのそうゆうところが……きらい」



浮かぶのは,ずっと纏わりつく1つの恐怖(そうぞう)

だから,これは諦めること。

1つの妄想から救われるために,諦めなくてはいけない方。



「分かった。血くらい,死なない程度でいくらでもあげる。だから,退いて。これは,嫌」

< 66 / 111 >

この作品をシェア

pagetop