ヴァンパイアガールズ
相性。
血と,外見と,快楽と,心と。
何度考えたか分からない,ヴァンパイアにとっての相性。
……好み。
思考が,目の前のちはやから離れていった。
はっと取り戻したときには,ちはやが私を怪訝そうに見つめている。
どれだけの間,もぬけの殻のようになっていたかと思えば,きっと数秒に満たないくらい。
「で,くれんの?」
「嫌,ぜったいに,いや」
「だと思った。でも別にいいんだよそんなの」
心は,後。
ちはやは私の太ももに手を置き,ぐっと力を込めた。
持ち上げられた私は,簡単に床を背にしてしまう。
これは,仕方のないことだ。
そうゆうヴァンパイアなんかを助けてあげようとした,私の落ち度。
でも……
浮かぶのは,ちはやへの悲しみ。
「私……ヴァンパイアのそうゆうところが……きらい」
浮かぶのは,ずっと纏わりつく1つの恐怖。
だから,これは諦めること。
1つの妄想から救われるために,諦めなくてはいけない方。
「分かった。血くらい,死なない程度でいくらでもあげる。だから,退いて。これは,嫌」