ヴァンパイアガールズ
被さるちはやを押し退けると,ちはやは迷いながらも退いてくれた。

一先ず安心して,息を落ち着ける。



「何やってんだ?」



きょろきょろとする私に,ちはやは言った。



「探してるの,丁度よく危なそうなもの」



人の皮膚に,ちゃんと刺さるのもの。

右腕の次は左腕,と。

2回目だから加減できるかなと考える。

ちはやが強く私を捕まえた。

後ろからがっしりと,ホールドされる。



「痛ぇだろ,それ。"こっち"でいい。……諦めろ,浅海が傷つくんのは許さねぇ」

「痛い方がましなの」



その出来た傷,握ったくせに。

私は,そのこっちを避けたかったのに。

ちはやの気配を感じて,首を傾ける。

ちはやは私の左手を,ぎゅっと下から握った。

仕方ない,逃げられない。

私はちはやの言う通り諦めて,目をつむった。
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