ヴァンパイアガールズ
「…………──ふ…………っ」

「一々抑えてんな」



そう言われても。

笑われても。

絶対,いや。

そう言い返してやりたいのに,口を開けば別の音が漏れそうで。

私はたまに,身体を上に跳ねさせながら。

がっちりと押さえられたまま,みじろいだ。

これは,私が初めてだからなのか,なんなのか。

知らないけど,知りたくもないけど。

想像以上に強く影響を及ぼすものだった。

本当に聞いたそのまんまで,笑ってしまう。

吸血は長い1回でごくごく済ますのかと思ってた。

だけど,それだと疲れるのか1口1口ゆっくり止めるせいで,感じ方に波がある。

けれどそれをただ感じる私は,寧ろ一気に吸われでもしたら壊れてしまうと感じて。



「……っ……!!!!!」



は,と,重たい息が漏れる。

後からやってくる羞恥に,胸が張り裂けそう。

思わず身を丸くして,両腕を抱えた。

これは確かに,普通じゃない。

盛られた,としかいいようのない,劇毒だ。

くらくらカチカチとする視界,ぼんやりと,光が見えた。

驚いて目一杯に瞼を開くと,それは光でなく。

鈍い金の色だった。



「まっ……て,ちは,や……」
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