ヴァンパイアガールズ
後ろから,ちはやが覗いた。

こんなことするの,あの人しかいないんだよ。



「 きょう |
  はとく |~_2…\+;&…1~:
  べつな |君がたどり着くまで,
  ひだよ |      ずっと待ってる」



帯状の紙に書かれた文字達を見て,ちはやは顔を歪めた。



「なんだこれ」

「さあ?」



"君",この親しげな君が誰なのか。

それさえ分かればいい。

サプライズ好きで,謎かけ好き。

そんな無邪気な兄の手紙が,誰へのものだったのかさえ分かればいい。



「ねえちはや。いつからこの教室使ってるの? ここに誰か,上級生とか,来る? 特に,女子生徒……とか」

「知らねぇな。浅海と会った時,隠れてたので最初。それ以外は他のやつが食事してたりするから,あんま通りがからない」



そうか,と気落ちしてしまう。

それなら誰がここに来ようと,探してる人やヴァンパイアなのかは判断できない。

要するに,ここを使うのは早い者勝ちなんだと分かった。

じゃあ,やっぱり。

私はそっと紙の上の細かい埃を撫でる。

これ,解かなきゃ。

切なく懐かしい感覚だった。
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