ヴァンパイアガールズ
「似合わねぇ顔,してんじゃねぇよ」



どんな顔だろう。

私は多分,なんの感情も乗せてはいなかったのに……

もしかして,それのこと?



「私の勝手でしょ」



この場所に入学して,私は一緒にいる皆に時折不思議がられるほどヴァンパイアを見つめてきた。

ヴァンパイアには,好みがあるから。

年齢,味,外見と,大体が一致する。

でもお兄ちゃんみたいなのを好くようなヴァンパイアは,見つけられなかった。

お兄ちゃんは,通り魔的にヴァンパイアに殺されてしまうほど弱くない。

グッズだって護身術だって身に付けていた。

だから,時間的にも絶対にこの学園の生徒なの。

学園長は,ここ数年で学園を出た生徒はいないと,そう言っていたから。

絶対に,いるはずなの。

お兄ちゃんに関わるヴァンパイアが。

腕の傷を,首筋からの致命傷を与えたヴァンパイアが。

なのに,ずっとずっと分からなかった。

人間の中にも,友達を失う経験をしたような生徒を見ることは出来なかった。

だけど。

ここで,お兄ちゃんはどう過ごしていたのか,なぜ突然死んでしまったのか。

その手掛かりを,ようやく見つけた。

この示される場所に,出入りする特定の人物がいるかなんて定かじゃないけど。

何もないより,まし。

関係なくても,お兄ちゃんを見たことがあると言う人がいればいい。
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