ヴァンパイアガールズ
「ハル,シュウ。私と浅海,用事かあるから,先帰ってて」
「おー」
「用事? まさかえさのとこじゃないよね?」
「そう,っていたらなんなの? 違うけど。女の子の用事,良いから早く帰って」
しっしっと。
私の変わりに,美海が細腕で2人の背を押す。
申し訳なく思いながらも,説明できないだけになんともいえない。
変わりに,ばいばいと手を振った。
ほんとにこれが最後かもしれないと思いながら。
3年生のフロアも,音楽室も。
全部3回にある。
だからなのか,ついた時には既に,尋ね人はそこにいた。
遅れてちはやがやって来る。
窓から覗いたそのヴァンパイアは,とても綺麗で,肩幅が狭く。
華奢で儚いロングのヴァンパイアだった。
一瞬,泣いているのかと錯覚してしまう。
真っ白な肌の,女性だった。