ヴァンパイアガールズ
「浅海ちゃん,良いわ。誰にも口外しないでくれるなら,全て教えてあげる。私にはどうしよもない事で,でも私のせいでもあったの」
私が頷いたのを見て,いいこ,とサクラさんは微笑んだ。
「あの日は,不思議な謎かけと,ここでのパーティーで私の誕生日をお祝いしてくれて,丁度1週間の日だった」
私は,自分が今手にしている紙切れを,今すぐこのヴァンパイアに返した方がいいんじゃないかと思って。
元の位置に戻した方がいいんじゃないかって,どきりとした。
今は聞くときだと,指を重ねる。
「私,珍しく寝坊してしまって,夜御飯を抜いてしまったの。それなのに,お父さんが私のためにこっそり入手してきてくれてるその深夜分のご飯まで持ち忘れてしまって……」
ヴァンパイアは1日2回,満腹になるまで血を飲めば生きていられると言う。
吸血出来ないと言うサクラさんは,特に一定の時間で採っていたはずだ。
人間と違い,2回,それも血液だけとなると,その1回がどれだけ重要なのか分かった。
普通にしてきたヴァンパイアが,突然2食も抜いたりしたら……
「私,空腹なんて普段感じたことがなかったから,お腹が空いて……我慢できずに,折角放課後になったのに……倒れてしまったの」
声をつまらすサクラさんに,私は情景を浮かべた。
よりにもよって,きっと。
サクラさんが倒れたのは,お兄ちゃんの目の前。
懺悔するような,悲しみ溢れた細い声が,静かな音楽室に響く。