ヴァンパイアガールズ
「私が見つけたとき,駆くんはもう息をしてなかった。近くにいた子供のヴァンパイアが,動かないのって私を駆くんのところに連れて行ったの。話を聞いて,全て分かってしまったわ。駆くんを殺したのが……駆くんが間違って命まであげてしまったのが,その子供だって。よくあるの,夕飯を待ちきれずに,勝手にコウモリに変身して抜け出しちゃうこ。そのこそのまま迷子になって,泣きながら駆くんの前を通りかかったのよ。迷いもせず,駆くんは首筋を差し出したそうよ『吸血の際は人間の様子を良く見ること。人間は殺してはいけない生き物だってこと』そんな簡単な義務教育も受けていない,死ぬと言うことを理解してもない,たった3歳のヴァンパイアに!!! とはいえ,途中で気付いたはずなの。なのに,私のせいで直ぐに頭が朦朧としちゃったんだわ。右手も頭も動かない,突き飛ばせもしなければ,言葉をかけたところで,お腹を空かせて夢中な3歳のヴァンパイアなんか聞き入れもしない。その頃のヴァンパイアなんてね,家族の言うことを辛うじて聞くどころか,自分が何より一番なのよ。迷った,迷ったの私。彼女を殺してしまうか,事故でも任意でも警察につき出してしまうか。でもどちらも選べなかった。駆くんはきっと,望まないから。自分の行動が原因で,ヴァンパイアの少女を人殺しにしてしまったと,駆くんは悲しむから。悔しかったわ,自害してしまいたいほど。だから,自分と子供どちらも灰になるかもと思いながら,何度も話した。駆くんに触れさせて,説いて,質問に全て答えて。もうこんなこと起こさないと頷かせるまで,そうしていたわ。そして……今の今まで黙っていたの」