ヴァンパイアガールズ
休むことはできない。

ヴァンパイアにとってのお祭りみたいなその日に,わざわざヴァンパイアには珍しい風邪をやるなんて。

そんなリスクのあることは出来ない。

なら,どうするか。

当日の私のバッグには,いつもは無いものがあった。

大丈夫,怪我をする練習はした。

と心を落ち着ける夜。

足を捻るために,着地場所に置く予定の変な形の固いものもバッグのなかに。

恋人の時間の数10分前になると,学校のチャイムが大きく鳴るから。

今日はもう休校! のそれを聞いて,騒がしい教室からダッシュで離脱する。

そして大きな怪我をしたあと,人間の校舎の保険医のところへ。

ヴァンパイアの校舎の保険医はヴァンパイアだったはずだから,そこではだめなのだ。

頭が良く,色々はしょるのはヴァンパイアの悪癖。

それで生徒も難なくついていけるから,ヴァンパイアを受け持つ全ての教師は,全てヴァンパイアだと私は気付いている。

頼れるのは,理由までつけれてしまうのは。

人間の方だけ。

季節は冬。

1時間目は体育で,男女混合の持久走だった。

運動神経や体力に差の少ないヴァンパイアは,遅い組の前半と早い組の後半で,男女ミックスされるのだ。

私はもちろん,前半組。

また,1時間目と言っても,朝ではない。

朝に外で体育なんて,保健室で済まない自殺行為,ヴァンパイアに大きく配慮された学園ではあり得ないのだから。

学校生活の基本は,全て夜。

ここに通うなら,寝不足でも覚悟しない限り,人間の世の中とは隔離されてしまう。

そんな厳しい生活の中,前半組でも落ち着いていられるのは,ヴァンパイアの運動能力が頭と違って個人で大きく分かれるからだ。
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