ヴァンパイアガールズ
「じゃあはいこれにサインして」



渡されたのは終身雇用書。

私は適当な理由で学園を去り,学園長の広い屋敷で働くことになる。

名目はただの下働きだ。

給料も発生する。

でも,学園長にとって私の1番の価値はそんなところにない。

本人の口からもはっきりと告げられていた。

これは言わば,一生逃げないと約束した……食用の……奴隷になると言う契約。

それだけで済めば幸せと,初対面でタイプだと言われたことは意図的に忘れる。

まぁ,こんなものにサインしようと……

真っ黒なのがグレーになるだけの,れっきとした犯罪だ。

学園長が約束を守ったから,私も守るだけ。

逃げないだけで,もし誰かが助けてくれるなら,私は学園長を捨てるだろう。

その日が来るまで,私はほっといてもくれない大きな檻にはいるだけ。

誰かに見つけ出される確率は……ほぼゼロだと思う。

両親には悪いと思うから,家出して独立したことにさせて貰った。

お兄ちゃんが死んでから,塞いで私を忘れた両親。

私ならやっていけると,病んだ頭の角で勝手な理解をしてくれるだろうと思う。

2人にもいつか,救われてほしい。

私じゃダメだったから。

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