ヴァンパイアガールズ
「私は今から,それにサインするの」



最後にちはやに逢えるとは思っていなかったと,ちはやがぺらり掲げる紙を指差した。

それ自体はただの終身雇用契約書でしかないから,堂々と指をさせる。



「なんで?」

「何でって言われても……」



大した理由はない。

死ぬほど嫌だけど



「約束したから? 私,用がなくなったから,学校をやめるの。そろそろお金もないし」



どんなクズだろうと,1年私の居場所をくれたのは確かで。

それが約束の対価なら,真相を見つけた今それだけの価値はあると思う。



「なあ,馬鹿な人間とヴァンパイア。俺がいつから話を聞いてたと思う?」



いつから。

最初からだったとしても,特にそんな風に嗤われる覚えはない。



「昨日の放課後からだよ」
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