ヴァンパイアガールズ
その答えに絶句したのは私。

は……昨日?

すぐさま意識を取り戻した学園長は,覚えでもあるのか慌てふためき出す。



「無人の学園で呑む生き血は旨かったか?」



ああ,間抜けやらかしたのかと。

理解した私は空中に視線を置いた。

このままじゃ,サインしようとしまいと,学園長もろとも警察行き。

残念ながら,自分の意思を伴ってしまえば私も共犯扱いになってしまうのだ。

じゃあ止めるかと考えたところで



「で,お前はサインすんの? もう破っちまったけど」



ちはやはビリビリと紙を破ってしまう。

ううん,と言おうとしたのに,その声はどんどん怒気を孕んだものに変わって行ってしまった。



「どのみち辞めようと思ってたんだろ,大事にしてるヴァンパイアにも,人間だって晒すつもりだったんだろ。なら弱みもなんも握られてねぇ,痛手なんてなんもねぇのに,わざわざそんなデブダヌキについてく必要ねぇだろ。人生の損失だろ」



正論でしかない。

私はその何一つ勝てないデブダヌキの様子がおかしくて,かたかたと笑った。

自分を向かない私に焦れたのか,ちはやはまっすぐ私に声を飛ばす。
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